冬はスキー場としても知られるが、砂漠都市ラスベガスの住民にとっては避暑地としての印象が強い。針葉樹林が広がるそのすがすがしい環境は、ネオン街や殺伐とした荒野が広がる下界とは別世界で、さしずめ "ネバダの軽井沢" といった感じがしないでもない。
車でアクセスできる最高地点 Mt. Charleston Village の標高は 7650 フィート (2331m)で、富士山の五合目まで行ける富士スバルラインの終点 2305m よりも高い。ちなみに JR信越本線の軽井沢駅は 940m。日本を代表する避暑地も高さではこのビレッジの足元にも及ばないことになる。
参考までに、気温は理論上 100m 上昇するごとに摂氏で 0.6 度 (華氏なら約 1.1度) 下がることになっており、このビレッジは、ラスベガス市内 (660m) よりちょうど 10度低い計算になる。
そんなチャールストン山に行って何ができるのか? その答はむずかしい。軽井沢のように小洒落た商店街があるわけでも、テニスコートやゴルフ場があるわけでもない。そもそも目的地であるビレッジには、1軒の山小屋風のレストランとログハウス風の宿泊施設が 23棟あるだけで、何かやりたくてもその選択肢は非常に限られている。
楽しみをしいてあげればトレッキングか。針葉樹林の間を通り抜ける数本のトレイルはかなり本格的なもので、アウトドア派の者にとってはそれなりに楽しめるだろう。一方、トレッキングに興味がない者は、屋外デッキから高峰を眺めながらの食事が唯一の楽しみとなりそうだ。ちなみにそこでの名物メニューは "Mt.Charleston Omelets" ($8.95) で、これが意外といける。
いずれにせよ、ここでの楽しみは、ドライブも含めて自然と接することだけで、それ以外にはあまり多くを期待しない方がよいだろう。
なお、乗馬も楽しむことができるが、その施設はかなり下界(ドライブコースの途中) にあり、景色も気温もビレッジ周辺とはかなり異なっているので、森林や避暑地をイメージして行かない方がよいだろう。むしろ西部劇に出てくる荒野のカウボーイをイメージして行くと、期待を裏切られることが無い。
暑い時期にラスベガスを訪れる者におすすめのチャールストン山。猛暑とカジノの喧騒から逃れたい者はぜひ行ってみるとよい。なお、近いといえども途中は何もないのでガソリンは必ず満タンにしてから出発すること。
ラスベガスといえばだれもが真夏の灼熱地獄や砂漠をイメージしがちでウインタースポーツは想像しにくいが、なんと驚くことにストリップのホテル街から車でわずか 1時間の場所に白銀の世界 "Las Vegas Ski & Snow Board Resort" がある。シーズンはその年の気候にもよるが、おおむね 12月中旬から 2月の末まで。(この期間以外でも 11月下旬から 4月初旬までスノーマシンを使うのでそれなりのコンディションでの滑降が可能)。
盆地と呼んでもよいラスベガスの周囲には大小さまざまな山があり、その中心的存在となっているのが主峰マウントチャールストンで、富士山とほぼ同じ高さの 3632メートルを誇っている。Las Vegas Ski & Snow Board Resort はそのマウントチャールストンの北西側の山麓にあり、乾燥地帯のため積雪量こそ少ないものの、標高の高さと気温の低さでは世界の著名スキー場にまったく引けを取っていない。
現場の積雪は例年約 50cm 程度で、雪の多さでは世界屈指と言われている日本のスキー場を見慣れてしまった者にとっては少々物足りない感じがしないでもないが、スキーを楽しむ分には何ら問題ないだろう。また、一般に知られるスキー場に比べリフトの数が極端に少ないが (全部で3機)、周辺人口を考えるとこれもやむを得ないといったところか。広大な砂漠に囲まれたこのスキー場の半径 300km以内にはラスベガス以外に主要都市がなく、リフトを何基も設置するほど需要が無いからだ。
需要が少ない分だけ異常にすいており、リフトの少なさなどはそれほど気にならない。もちろん滑降可能なコースの選択肢は限られてしまうが (全部で約 8コース)、初心者から上級者まで楽しめる斜面が一通り用意されており、日帰りで気軽に楽しむ分にはこれで十分といった感じだ。
レンタカーが不可欠だが、道は非常にわかりやすく運転も簡単なので、興味がある者は半日程度の気軽な気持ちで行ってみるとよいだろう。規模こそ決して大きいスキー場ではないが、ゲレンデの混雑や移動時間にうんざりしている日本のスキーヤーにとってはまさに天国と映るに違いない。
なおスキー用具に関してだが、アメリカの大多数のスキーヤーは自分で用具を所持することなくレンタルスキーを利用するのが普通で、用具を借りることに関して何ら不便を感じることはない。スキーもスノーボードも一流ブランドの最新モデルが多数用意されている。
ただし手袋、帽子、サングラスなどはレンタルはなく、持参しない者は現場で買うしかない。それでもそれぞれ $10~$15と良心的な価格で売られているので、わざわざ日本から持っていくことを考えたら現場で買うのも悪くないでしょう。
なお、用具を借りる際は身分証明書の提示を求められるのでパスポートを持参する必要があります。
ラスベガスダウンタウンから北へ 15号線 → 95号線 → 156号線 の順に進む。ストリップ地区のホテル街からの所要時間は約 45分。
Mt.Charleston, NV 89124
電話 702-645-2754
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